事務所通信

 
 

2026年11月号(要約版)

税務:こんなケースは要注意! 令和8年分 年末調整のポイント

   多くの会社員(給与収入のみ)にとって、所得税の納税を完了させるための重要な手続きである年末調整。特に次のようなケースにあてはまる従業員がいる場合は、手続き上、他の従業員と異なる点や、令和8年度税制改正(令和8年12月1日施行)の影響を受ける可能性があるため、気をつける必要があります。

・中途採用で入社した

・年末に結婚した

・見込年収額が昨年と同額である

・配偶者がパートで働いている

・大学生の子どもがいる

・生保に加入している(子育て世帯)

・マイカー通勤をしている

 2年連続で年末調整に大きく関係する税制改正が行われたことから、例年よりも年末調整事務が煩雑になります。手続きを始める前に、注意すべき点について最終確認しておきましょう。

経営:役員退職金の準備はできていますか?――計画的な資金確保がポイント

   経営者をはじめとする役員の退職金は「引退するときに考えればよい」と後回しにされがちです。しかし、準備が不足していると退職後の生活はもちろん、会社の資金繰りや事業承継にも影響します。このような問題を避けるためにも、役員退職金の検討は後回しにするのではなく、事業承継後の会社経営の安定をも見据えて、早い段階から考えておきたいものです。

 役員退職金の支給額や支給時期が適正であれば、全額を損金算入できるため、会社にとっては税負担の軽減につながります。

 受け取る役員にも恩典があります。原則、退職金は給与所得ではなく退職所得に該当し、勤続年数に応じた退職所得控除があるため、給与所得として受け取る場合に比べて税負担が軽減される仕組みになっています。ただし、支給額が過大な場合や、退任の事実がないまま退職金を支給した場合などには、退職所得として認められないことがあるため、支給する前の検討は大切です。

 役員退職金を計画的に準備するには、①支給ルールを整備する、②支給原資を確保する――ことが必要です。役員退職金の必要資金や準備方法について、一度考えてみてはいかがでしょうか。

経営:中小企業が活用したい補助金・助成金3選

   物価上昇・賃金上昇が続く中、生産性向上や販路開拓等に取り組む中小企業にとって心強いのが、国や地方自治体が支給する補助金・助成金です。中小企業が活用したい補助金・助成金をピックアップしました。自社の状況と照らし合わせて、活用を検討してみましょう。

・小規模事業者持続化補助金

・中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

・65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

 補助金・助成金ともに借入金ではないので、原則として返済する必要はありません。ただし、いずれも「後払い」。特に、補助金については交付決定前の発注や支払いはNG。入金も事業の実施完了後となるため、申請から入金まで数か月〜数年単位でかかることもあります。助成金は比較的早く受給できる傾向にありますが、それでも申請から支給まで数か月程度はかかるため、資金計画をしっかり立てることが大切です。なお、いずれも条件等を守らない場合は返還義務が生じます。

 また、会計処理上、補助金・助成金は「営業外収益(雑収入)」として計上します。原則として法人税・所得税の課税対象となりますので、その納税資金の確保も必要になります。

2026年10月号(要約版)

税務:10月1日からインボイス制度「経過措置」が変わります 「またぐ取引」はどうなる?

   免税事業者などインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについて、買手は、原則として仕入税額控除を行うことができません。ただし、一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

 令和8年10月1日以後に行う免税事業者等からの課税仕入れについては、控除可能割合が「80%→70%」に引き下げられます。

 この控除可能割合は、原則として、請求書の発行日や代金の支払日ではなく、資産の引渡し日や役務提供完了日である「実際の取引年月日」で判定します。そのため、10月1日をまたぐ取引や、その前後に行われる取引では、「80%控除」と「70%控除」が混在することから、「実際の取引年月日」に注意が必要です。

 なお、令和8年10月1日以後も、免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の適用を受けるためには、一定の事項が記載された帳簿および請求書等の保存が必要です。

税務:帳簿書類の保存、きちんとできていますか

  すべての事業者には、法律上「帳簿(仕訳帳・総勘定元帳等)」と「書類(請求書・領収書等)」の保存が求められ、その保存期間・要件も規定されています。

 税務調査への備えという観点からも、帳簿書類の保存がきちんとできているかどうかは非常に重要です。税務調査の際、取引内容を証明する請求書や領収書等が見当たらなければ、「経費」や「仕入税額控除」が認められない可能性があります。また、税務調査官の求めに応じて、売上や仕入の事実を裏付ける資料を提示できなければ、思わぬ追徴課税につながることもあり得ます。帳簿書類は、税務上の正当性を証明するための重要な証拠といえます。

 紙の帳簿書類は、「種類ごと」「月ごと」「事業年度ごと」に整理し、月別・事業年度別のファイルや保存箱に保管します。電子で帳簿書類を保存する場合、電子帳簿保存法が求める一定の要件を充足することが必要になります。メールやPDF等で受領した請求書・領収書等の電子取引データは、原則として電子のまま保存しなければなりません。

 自社の帳簿書類の保存状況やその方法について、再確認してみましょう。

税務:令和9年1月から「貸付用不動産」の評価方法が変わります

  本来、相続税評価は「時価」によるものとされていますが、貸付用不動産は実勢価格と相続税評価額との乖離が大きく、課税の公平性が担保されていないことが指摘されていました。中には、相続開始の直前に多額の借入れをして貸付用不動産を購入し、意図的に相続税負担を減らすといった極端な“相続対策”が行われたケースもありました。

 こうした状況の是正のため、令和9年1月1日以後に相続等により取得する不動産のうち、被相続人等が相続開始前・贈与前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築をした一定の貸付用不動産については、相続開始・贈与時期における「通常の取引価額に相当する金額」によって評価することとなります。

 評価方法の見直し後は、貸付用不動産を取得する時期によっては、相続人に対して、想定していたよりも大きい税負担が課せられる可能性があります。現在保有している貸付用不動産の取得時期について確認しておくとともに、あらためて現時点で見込まれる相続税額についてシミュレーションしておくことをお勧めします。

2026年9月号(要約版)

税務:【個人の青色申告者向け】令和9年分所得税から!「青色申告特別控除」が見直されます

  「青色申告特別控除」は、個人の青色申告者(不動産所得または事業所得のある青色申告者)のみが受けられる青色申告の特典の1つです。現行制度では、満たすべき要件によって「65万円」「55万円」「10万円」の3つの控除額が設けられていますが、令和9年分の所得税から、一定の要件のもと、「75万円」「65万円」「10万円」となります。

今回の改正は、複式簿記による記帳と電子申告の普及を後押しするもの。一方で、簡易簿記による記帳や書面申告を行う場合、控除額が大幅に下がるため、実質的な税負担が増えることになります。

・65万円→75万円(複式簿記+電子申告+優良な電子帳簿の保存等)

・55万円→65万円(複式簿記+電子申告/書面申告からの切り替え)

・55万円→10万円(複式簿記+書面申告)

・10万円→0に (簡易簿記/前々年の収入が1,000万円超の場合)

キーワードは「複式簿記」「電子申告」「優良な電子帳簿の保存」の3つ。令和9年1月からスムーズに対応できるよう、今のうちから改正内容をおさえておきましょう。

税務:贈与って何? 贈与税って何? 贈与にまつわる「素朴なギモン」

  家族内をはじめ個人同士で行われるお金や資産のやりとり。それが法律上の「贈与」とみなされ、思わぬリスクが生じることもあります。よくあるケースをもとに、贈与にまつわる素朴なギモンをひも解きます。

Q 贈与するときには契約書は絶対に必要なのですか?

A 民法では、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」(第549条)とされています。口頭で贈与の約束をした場合も有効であり、必ずしも契約の書面が必要というわけではありません。しかし書面によらない贈与の場合、「言った、言わない」でトラブルの原因となる可能性があります。特に大きな金額や不動産の贈与は、契約書を作ることをお勧めします。

Q 贈与税は、財産をもらったら必ずかかるのですか?

A 贈与税とは、原則として個人から金銭などの財産をもらったときに、もらった人が納める税金です。ただし、贈与税には110万円の基礎控除があります。つまり、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりませんし、贈与税の申告も不要となります。

経営:「売れる」仕組みはどうつくる? マーケティングのきほんの「き」

  マーケティングとは単なる広告活動ではなく、「販売(強引な売り込み)を不要にすること」とされます。つまり「顧客に選ばれる仕組みをつくること」がマーケティングの目的であり本質ということです。「マーケティングの父」と呼ばれるコトラーの理論では、まず、顧客が望む価値を把握することから始めます。そのヒントを探るための考え方が、不便や悩み、欲求などをいう「ニーズ(needs)」と、ニーズを満たす際に「何を欲するか」という具体的なものである「ウォンツ(wants)」です。あわせて重要になるのが、徹底した「顧客の絞り込み」を行うこと。「全員に売ろう」ではなく、「顧客から選ばれるために、市場を絞る」ということであり、「市場を分けて・狙いを定め・どう際立たせるか」というSTP理論がそのヒントになります。

顧客が設定できれば、「その顧客に刺さる商品はどんなものか?」という具体的な検討ができるようになります。そうした顧客中心の商品開発や販売戦略の考え方を、「マーケティングの4P」といいます。商品開発や販売戦略を考える際は、「▲で悩む顧客のために、□という価値を提供するのが自社である」と、一言で言えるか考えてみるのがお勧めです。

2026年1月号(要約版)

トピック:2026年は制度改正が目白押し!

経営:「決算報告会」で振り返りと戦略のアップデートを(実践編4)

決算を迎えたら会計事務所が行う「決算報告会」で、前期の振り返りと戦略をアップデートしましょう。決算報告会では、次のようなことを行います。

 〇1年の振り返り:売上や利益、費用の増減に変化があった事項や出来事に着目すると、どんな1年だったかを、大まかに振り返ることができます。

 〇当期確定決算の報告・納税額の確認:前期比・計画比の数字を基に当期確定決算の数字を確認します。いわば、社長の「1年間の成績」です。

 〇戦略のアップデート:「1年間の成績」を踏まえ、今期の戦略を検討します。継続すべき点/改善すべき点を洗い出し、今期の戦略をアップデートしましょう。

 決算報告会は、社長の考えをアピールできる良い機会でもあります。可能であれば金融機関の方にも同席いただくと良いでしょう。

税務:令和7年分 所得税の確定申告 事前準備チェックリスト

令和8年2月16日(月)〜3月16日(月)は、令和7年分所得税の確定申告期間です。特に個人事業者、不動産賃貸業者の方は、所得計算や控除に必要な書類や資料を、余裕をもって準備しましょう。

 一定以上の所得があった個人事業者等は、確定申告をする必要があります。「所得」とは、収入から必要経費を差し引いたものです。また、事業所得以外の収入についても令和7年中に受け取ったものについては、申告が必要な場合もあります。また申告によって所得控除等が受けられる場合もあります。

 「確定申告が必要かどうかの確認チェックリスト」を参考にして、確定申告が必要な収入があるかどうかをあらためて確認しましょう。また、「所得税の確定申告に必要な主な書類等のチェックリスト」等を基に、確定申告時に必要な資料も早めに準備しておきましょう。

 ご不明な点がありましたら、当事務所にご相談ください。


2025年12月号(要約版)

税務:「去年と同じ」はNG 最終確認! 令和7年分年末調整のポイント

  「年収の壁」の見直しで、所得税の還付を受ける人が増えるとされている今年の年末調整。従業員本人はもちろん、その配偶者や扶養親族の年収・年齢など、確認すべき点は例年より増えているため、「去年と同じ」ではNGです。

 従業員に、年末調整に必要な各種申告書の入力方法(書き方)を説明する際に正しく伝えられるように、混同しやすい「年収(年間給与収入)」と「給与所得」の違いをまずは確認しておきましょう。

 ○年収(年間給与収入)…1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われる総支給額のこと。税金や社会保険料等が引かれる前の金額を指す。

 ○給与所得…年収(年間給与収入)から給与所得者の「必要経費」とされる「給与所得控除」を差し引いたもの。その年の収入が給与所得のみの場合、給与所得=合計所得金額となる。

 従業員から提出を受けた基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書をチェックする際、令和7年度税制改正により給与所得控除額と基礎控除額が見直されていることに留意が必要です。


会計・税務:社長がおさえておきたい 「減価償却」のきほん

    減価償却とは、時間の経過や使用などによって価値が減少していく固定資産(=減価償却資産)の購入費用を、一度に経費として計上するのではなく、使用可能期間(耐用年数)に応じて、分割してその年分の経費として計上する会計上のルールの1つです。「費用収益対応の原則」に基づくもので、正しい期間損益を計算するために行われます。また、減価償却費は税法で規定された耐用年数に応じた期間にわたって、定額法や定率法に基づいて計上することが一般的で、損金(必要経費)として認められます。

 なお、少額な減価償却資産の場合は、税務上、一時の損金算入が認められています。

 ○使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のもの

  →「消耗品費」等として、購入したその期に一括で費用計上できる。

 ○取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産(一括償却資産)

  →「一括償却資産」として3年均等償却できる。

 また、中小企業(青色申告法人・個人)の場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産を年間合計300万円まで、全額その期に費用計上することができます(中小企業の特例)。


会計:会計ミステリー!? 利益は出ているのに、どうして資金がない?

   今期は売上も順調に伸び、利益も前年より増えているにもかかわらず、決算書を見ると資金(現金預金残高)は減少している。まるで、帳簿の中で資金が消えてしまったかのような「不可解なミステリー」です。

 利益と資金は、まったく異なるルールと流れの中で動いています。例えば掛取引の場合、売上が立った時点で帳簿には収益が計上されますが、実際に資金が増えるのは売掛金が回収された後です。同様に、仕入が計上されても、買掛金の支払いが済むまでは資金は減りません。会計上の収益・費用と、実際の入出金のタイミングのズレこそが、利益と資金が一致しない理由なのです。発生主義など会計の仕組みへのあいまいな理解から生まれた「利益=資金」という誤解や、帳簿上の利益がそのまま現金預金として存在するはず──との思い込みこそが、「利益はあるのに、どうして資金がない?」事件の真相です。

 利益を上げることは重要ですが、それだけでは十分ではありません。資金の流れを読み解き、資金繰りの改善に取り組むことが健全な経営の第一歩です。


2025年11月号(要約版)

会計:経理の「?」を「!」に キャッシュレス決済の記帳、どうしてる?

   コロナ禍を経て、急速に広まったキャッシュレス決済。クレジットカード、電子マネー(Suica等)、二次元コード(PayPay等)など、その手段も多様化しています。キャッシュレス決済は、その決済方法により、大まかに①後払い式②プリペイド式──に分かれますが、いずれも「発生主義」で記帳することがポイントとなります。

 ①後払い式(クレジットカード決済):「取引時」「入金時・引落時」に仕訳が必要

 ②プリペイド式(電子マネー、コード決済):「チャージ時」「取引時」に仕訳が必要

 なお、プリペイド式の電子マネー等は気軽に利用できるため、取引先等との飲食や備品を購入する時などに、プライベートのアカウントを使用してしまう場合があります。そのため、電子マネー等を使用した時は、必ず領収書をもらう、取引履歴をダウンロードして保存しておくなど、お金の流れが分かる証拠をきちんと残しておきましょう。

 そもそも、プライベートのクレジットカード・電子マネー等の利用は、公私混同を招くおそれがあります。そのため、法人カードや法人用電子マネーを使うようにする、業務用携帯のアプリ・アカウントから決済する──など、事業用とプライベートのお金の流れを、きっちり分けられるような仕組みやルールをつくることが大切です。


税務:年末調整直前! おさらい!「 年収の壁」

    今年、何かと話題の「年収の壁」。働き方が変化した方も多いと思われます。それに伴う年収の変化は12月以後に行う年末調整にも大きく関係するため、今一度おさらいしておきましょう。

 「年収の壁」には①税金にかかわる「壁」②社会保険にかかわる「壁」――の2つがあります。

①税金にかかわる「壁」――納税者本人の所得税(住民税)に影響するものと、その配偶者や親等の税負担に影響するものとがあります。

 ○「110万円の壁」:納税者本人の住民税負担に影響

 ○「150万円の壁」「160万円の壁」「188万円の壁」「201万円の壁」:納税者の配偶者や親等の所得税負担に影響

②社会保険にかかわる「壁」――社会保険料の負担が生じる「壁」をいいます。

 ○「106万円の壁」:一定の条件のもと、健康保険・厚生年金保険の保険料負担が発生

 ○「130万円の壁」:原則として国民健康保険・国民年金の保険料負担が発生


経営:できていますか? 売掛金の管理

「売上は伸びているのに、資金がギリギリ……」という経験はありませんか?考えられる要因の1つに、売掛金の回収遅延があります。

 売掛金の残高は常に確認し、あわせて「変わったこと」がないか考えてみましょう。例えば、売上の伸び以上に売掛金が増加している、入金が遅れている、売掛金が長期間未回収となっている──等に該当する得意先がある場合には、売掛金の回収方法を検討することが必要になります。まずは営業担当者が訪問して得意先の状況や支払遅延の理由を確認。最終的には、社長自身が得意先に出向いて自分の目で現場を確認し、先方の社長と「膝詰め」で話し合うことも重要です。

 売掛金が回収できなければ、資金不足を招き、借入れが必要になることも。売掛金の管理は、単なる経理業務ではなく、自社の健全経営を支える大切な業務です。全社員で意識しましょう。


2025年10月号(要約版)

経営:今期の決算に向けての「総仕上げ」を(実践編3)

社長の「今期やりたいこと」を数字に落とし込んだものが、経営計画です。経営計画は毎月の実績と照らし合わせてこそ、その真価を発揮します。期末まであと2か月のところまできたら、着地点を見据えながら今期の「総仕上げ」をしましょう。

 ○まずは、上期の振り返りで検討した改善策の効果と今期の着地点を、数字を基に検証してみましょう。FXシリーズ「365日変動損益計算書」から、当期・前年同期・当期計画の数字を比較・確認できます。

 ○黒字で着地しそうな場合は、納税額とともに決算対策も確認しておきましょう。決算対策においては、今期・翌期の売上や利益、従業員のモチベーションのアップにつながるような「前向きな決算対策」(減価償却資産の購入、決算賞与の支給など)を意識することが重要です。過度な節税は利益を縮小させ、資金繰りが苦しくなるなど、かえって悪手になることがあるので注意しましょう。


会計:その「資産」、本当に「お金になる」もの? 「投資その他の資産」の中身をチェックしてみよう!

貸借対照表(B/S)の「資産の部」に表示される固定資産のうち、長期的な保有を目的とした資産は「投資その他の資産」に区分されます。具体的には、投資有価証券、保険積立金、リゾート会員権・ゴルフ会員権などが該当します。

 これらの資産は、すぐに現金化するのが難しい(=流動性が低い)という特徴があるため、いざというときに現金化できず、資金繰りが苦しくなってしまうおそれがあります。また、「含み損」が発生していたり、事業承継に影響を及ぼしたりすることもあります。

 「投資その他の資産」に区分される資産は頻繁に取引されるものではないため、見落としがちなところでもあります。「凝り固まった」B/Sになっていないか、年1~2回は、自社の状況をチェックしましょう。


法務:2026年1月1日施行「取適法(とりてきほう)」 中小企業も注意と対応が必要です

中小企業を含めたすべての事業者が、適切な価格転嫁等ができる取引環境の整備・定着等を目的として、「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」が改正。「中小受託取引適正化法:取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)」に名称が変わります。「取適法」は、2026年1月1日から施行されます。

 取適法では、適用対象となる取引の範囲を、①取引の内容と、②資本金基準または従業員基準――から定めています。今回の改正でいずれも見直しがなされたことにより、今後、中小企業は業務を委託する側と受託する側、どちらの立場にもなる可能性がありますので、注意が必要です。違反行為があった場合の罰則規定(50万円以下の罰金等)も定められています。

 今のうちから取適法の概要をつかむとともに、①取適法対象となる取引・取引先の確認②必要な書面等の準備③従業員への周知――などの対応をしておきましょう。


2025年9月号(要約版)

税務:それって「福利厚生費」?

「福利厚生費」といえば、一般に、従業員やその家族のために企業が任意で設ける福利厚生のための費用(法定外福利費)を指すことが多くなっています。具体的には、社宅の提供、社内レクリエーション(社員旅行など)、食事代の補助、慶弔見舞金――等が該当します。

税務上、「福利厚生費」として認められるためには、次の要件を満たす必要があります。

 ①全従業員が対象であること

 ②現金や換金性の高いものの支給ではないこと

 ③社会通念上妥当な金額であること

これらの要件を満たしていない場合、給与として取り扱われる可能性がありますので注意が必要です。



会計:「自己資本」を意識して会社を変えよう

貸借対照表(B/S)の「純資産の部」は、普段の経営であまり意識することは少ないかもしれませんが、会社の健全性・安定性が分かるため定期的な確認が必要です。

 B/Sの「純資産の部」には、「創業から今までの、会社のあゆみ」が数字として表れています。いわば会社の「年輪」のようなもの。その積み重ねた年輪が、「自己資本」です。自己資本は、同じ貸方の「負債の部」で示されている他人資本(借入金等)とは異なり、返済が不要な資金で、主に「資本金」と「利益剰余金」とで構成されます。

 ○資本金:会社の資産の基礎となるものです。会社を設立した時の、株主による金銭出資と現物出資で構成されます。

 ○利益剰余金:創業から現在までの「税引後の当期利益」の累計額を表します。「その会社の利益を稼ぎ出す力の累積」と見ることもできます。

 総資本に占める自己資本の割合を示したものが「自己資本比率」です。自己資本比率が高いことは、他人資本(借入金等)に頼らずに事業を運営できていることを表します。予期せぬ経営環境の変化にも対応できることから、突然の倒産リスクもぐっと低くなります。また、生み出した利益(資金)を設備投資など、新たなチャレンジに活用することも可能です。

 中小企業の場合、自己資本比率を高めていくには、黒字決算を実現し、税金を納めて、利益剰余金を積み上げていくこと──が王道です。




トピック:考えてみませんか? 自社をとりまく「リスク」とその対策

会社経営には、さまざまなリスクがつきもの。特に、労働災害等の「ヒト」、資産の故障・盗難等の「モノ」、取引先の倒産や損害賠償の支払い等の「カネ」に関わるリスクについては、自社に起こり得るケースとその対策をあらかじめ考えておくことが重要です。自社の実態を考慮しながら、どのような危機が起こり得るかを想定してみましょう。

 「自社の実態の把握」には、日々の記帳と月次決算、そして会計事務所による月次巡回監査が基礎となります。例えば、固定資産台帳を見れば、いま、どんな資産をどれだけ会社が所有しているか、それらが消失等したときどんなリスクが想定されるか――といったことを考えるヒントになります。また、決算書を見れば、長期滞留している売掛金がどれだけあるか(=回収できていない売掛金がどれだけあるか)、つまり、業績が厳しくなってしまった取引先がどれだけあるか──など、取引先の倒産リスクを想定するベースとなります。このように、会計データは会社のリスクを考えるときの貴重な情報源となるのです。

 自社が抱えるリスクについて、一度洗い出してみませんか。





2025年8月号(要約版)

税務:備えあれば、憂いなし 「税務調査」も怖くない!3つの「備え」

会社の「税務調査」と聞くと、なんとなく怖いイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。でも、税務調査のほとんどは申告書の内容の「確認」のために行われるもので、「適正申告」を行っていれば過度に心配する必要はありません。

加えて、次の3つの「備え」を実践していれば、税務調査にまつわるリスクや不安を減らすことにつながります。

(1)日々の「適時・正確」な記帳とその証拠書類(データ)をきちんと残しておく

(2)毎月、月次決算を行い会計事務所による「月次巡回監査」を受ける

(3)税理士法で定められた税理士による確認書面が申告書に添付されている

 「税理士による確認書面」とは、顧問税理士が決算書や申告書の作成過程でどのように検討・判断したのかを記載したものです。この書面が申告書に添付されていると、税務調査の事前通知前に顧問税理士が税務署職員に意見を述べる機会(意見聴取)が与えられます。その結果、税務調査が省略される場合があります(書面添付制度)。書面添付制度は、突然の税務調査リスクを減らす、「あんしん」の制度ともいえます。


会計:あらためてチェックしてみよう! 知っておきたい「借入金」のきほん

「借入金」は、会計のルール(企業会計原則、中小会計要領等)に基づき、「短期借入金」(流動負債)と「長期借入金」(固定負債)に区分します。

 「短期借入金」とは、返済期限が1年以内に到来する借入金をいいます。仕入や家賃など日常の事業活動に必要な運転資金の借入れで、手形借入や当座借越等による短期継続融資も該当します。「長期借入金」とは、返済期限が1年を超える借入金をいい、建物・機械・車両などの購入や新技術の導入のための設備資金、一定期間の運転資金を借りる証書借入が該当します。なお、長期借入金には、返済期日での「一括返済」と、借入期間中にわたって分割返済する「約定返済」があり、約定返済のうち返済期限が1年以内に到来するものは「1年以内返済長期借入金」(流動負債)とします。

 役員からの借入金は、金融機関からの借入金と区別して、別の勘定科目である「役員借入金」を使用して管理しましょう。また、役員借入金の「出所」は税務調査での確認事項の1つになります。お金の「出所」を明確に説明できるよう、現金でのやりとりは極力避け、役員の個人口座から振込で行い、振込明細を保管しておきましょう。

トピック:中小企業こそ活用したい「生成AI」あれこれ

生成AIとは、人がPCやスマホから入力した「指示」(プロンプト)に応じて、インターネット上に公開されている膨大な文字・画像等の情報(ビッグデータ)から、指示内容に沿う「回答」をピックアップしてつくりだし、示してくれる技術のことです。まるで人のように文脈を理解した回答や、ユーザーには想像もつかないような斬新なアイデアを創出してくれるため、ビジネスシーンでの活用も進んでいます。

 1人ひとりが担う仕事量が多い中小企業こそ、生成AIを活用するメリットは大きいといえます。人手不足の解消につながるのはもちろん、それまで大きな手間を割いていた事務作業を効率化して生まれた「空き時間」を、営業活動等、新たな収益を生む可能性がある業務に充てることもできます。

 ただし、生成AIはインターネット上の情報から答えを導き出すため、ときに事実と異なる情報が示されることも。利用する際は、ファクトチェック(事実確認)を欠かさず行いましょう。また、著作権や商標権、意匠権など、他人の「権利の侵害」にあたらないかどうか――についても配慮する必要があります。


2025年7月号(要約版)

税務:親の税負担を軽減する「特定親族特別控除」が新しくできました

これまで、大学生年代(19歳以上23歳未満)の子を持つ親等は、子のアルバイト等による年収(年間給与収入)が103万円以下であれば自身の所得から扶養控除(「特定扶養控除」)として63万円の控除を受けることができました。子は親等の税負担が増えないように「年収103万円以下」に抑えるために働く時間を調整することも多く、学生アルバイトを雇用する事業者は人材確保に苦慮することも多くありました。

そうした状況を税制面から改善するため、令和7年度税制改正で、子の年収が「188万円以下」までであれば、親等が所得控除を受けられるしくみが整備されました。令和7年分の所得税(年末調整において適用)、令和8年度分の住民税から適用されます。

 〇特定扶養控除:親等が受けられる特定扶養控除(控除額63万円)について、大学生年代の子の年収要件が、103万円以下から123万円以下(合計所得金額58万円以下)に引き上げられました。

 〇特定親族特別控除:親等は、大学生年代の子の年収が123万円を超えても、150万円以下(合計所得金額85万円以下)であれば、特定扶養控除と同額(63万円)の控除が受けられます。また、子の年収が150万円を超えても、年収188万円以下(合計所得金額123万円以下)までは所得控除を受けられます(子の年収に応じて控除額は段階的に縮小)。

 今回の改正により、学生等がより多く働けるようになるため、学生アルバイトを雇用する事業者は、柔軟なシフトを組むことができるようになると期待されます。


経営:期の「折り返し」は業績改善のチャンス!(実践編2) 

社長の「今期やりたいこと」を数字に落とし込んだものが、経営計画です。経営計画は毎月の実績と照らし合わせてこそ、その真価を発揮します。期の「折り返し」では、上期の振り返りを行いましょう。業績の改善を図るチャンスにもなります。

○FXクラウドシリーズ「予算実績比較表」から売上高・変動費・限界利益額・固定費・経常利益の実績と予算を確認し、上期の全体像をつかみましょう。

○FXクラウドシリーズ「当期決算の先行き管理」から、業績予測値を入力して「このままいくと、こうなる」という着地点をシミュレーションしてみましょう。

○着地点の予測から見えてくる改善点を洗い出し、例えば、「1日あたりの売上をあと2万円増やせば資金繰りが安定する」など、1日単位の数字に落とし込んだ具体的な打ち手(やるべきこと)を検討してみましょう。


会計:経理の「?」を「!」に 支払時に「一括費用計上」できるものは? 

費用計上のルールは、「今期の費用は今期に、来期の費用は来期に」が原則です。そのため、翌年分の地代家賃や火災保険料、保守点検料の前払いのように、期末においてまだ提供を受けていないサービスに対する支払いについては、原則として、支払った期の費用とせずに「前払費用」として資産計上し、翌期以降、サービスの提供を受けた時に費用計上します。

 ただし、例外として、支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける費用(短期前払費用)については、一定の要件のもと、支払った期に一括して費用計上することができる「短期前払費用の特例」があります。その法人の事業に必要な、「重要な費用」は対象とはなりません。また、一定の契約に基づき毎期継続して適用する必要があるため、「利益が出たので、当期だけまとめて1年分のみ支払い、継続はしない」といった、利益調整とみられるような支払いには適用できません。