社長業は、悩みが途絶えることはありません。
赤字であれば、事業存続が危ぶまれますし、黒字であっても税金の悩みがあります。
「税金」「税務署」・・・経営者にとっては嫌な言葉です。ですが、事業をしている以上、忘却のかなたに葬り去ることはできません。
「税金」は支払っても見返りがありません。「支払い損」。この様に思われている社長が大半なのではないでしょうか。(一部の立派な社長を除いては・・。)
社会的には、見返りがあります。道路整備、社会保障・・・。マクロ的すぎて、個人レベルではなかなか見返りと感じることはできませんが。
しかし、見返りといったら語弊があるかもしれませんが、税金を支払うメリットもあるのです。それが貸借対照表の純資産の部(自己資本)に現れるのです。
利益を出し、税金を払って、その残りを会社に残せば、貸借対照表の数字が良くなります。つまり、財務状況が良くなるはずです。
個人レベルで考えてみましょう。会社から給料をもらいます。税金を支払って(天引きされて)初めて自由に使えるお金が手に入ります。逆に言うと、税金を払わないと生活費を手に入れることができないのです。
会社もまったく同じです。税金を払わないと、利益の残りを会社に残すことができないのです。
これが社会の仕組みなのです。この仕組みを犯す!?権利をなぜか持たされているのは事業者(個人事業主・法人)なのです。自己責任能力が試されているところです。
次の2社を比較してみましょう。
- 1期から5期まで、本来利益が出ていたにもかかわらず、節税第一に経営してきたA社
- 1期から5期まで、ある程度税金は払っていこうというスタンスで経営してきたB社
* A社及びB社は共に資本金300万。
第5期において、どちらが良い貸借対照表になっているでしょうか?
当然、②のB社です。この問いかけを別な表現に変えれば、
- どちらが社内に貯蓄ができているのでしょうか?
- どちらが体力ある会社になっているのでしょうか?
- 銀行はどちらに有利な条件でお金を貸し出してくれるのでしょうか?
- どちらが強い会社になっているのでしょうか?
これと同じことです。
利益を出し、税金を払って、その残りを会社に残してきたB社の貸借対照表は、純資産の部(資本)の金額が増えます。設立時の資本金300万に利益のうち税金を支払った残りである利益剰余金が毎年上乗せされます。
一方、A社は節税第一で経営してきた為、毎年利益ゼロ。その結果、純資産の部(資本)は、資本金の300万のまま。5年たってもなんら会社に成長が見られないという結果なのです。
節税第一で経営すると、A社のように金融機関に評価されず、結果として、自分の首を絞めることとなるのです。
ただし、ここで、言い改めなければならないとすれば、今期の利益を想定して、社員の士気が高まるように賞与をはずんであげたり、教育研修費として人材投資したり、将来の事業投資として設備を新たに買い換えたり、営業促進、販売促進経費として新たな予算を割いたりと、将来の利益を産み出すための節税であれば、会社の成長は得られるかもしれません。
しかし、中小零細のTOPはお山の大将さんですから、利益が出そうになると、
- じゃ、自分の車を買い替えよう!
- 派手に慰安旅行でもしよう!
- 骨董品を買おう!応接セットを高級品にしよう!
- 毎晩の一杯を少し贅沢しよう!
- ゴルフの回数、もうちょっと増やそう!
という、贅沢嗜好の節税対策に走ってしまうのであれば、本テーマの内容をグッと噛み締めて、ふんばってほしいと願うばかりです。
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