毎期の決算申告書、青色決算書を作成して(またはしてもらって)から、改めて、数字の並びに目を向け、自身の事業を把握しているだろうか?
多くの会計事務所は、関与先企業に対して、一通り、決算書を目の前にして、事業主に今期の決算内容を説明いるはずである。
その決算書の中に「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」があるわけだが、これが、何をあらわしているのかきちんと理解しているだろうか。
決算書の中の貸借対照表は 会社(事業所)の財産状態を表しています。
多くの経営者は貸借対照表には目もくれず、売上がいくらで、粗利がいくらで、人件費がいくらで、給料がいくらで、利益がいくらなのかを表す「損益計算書」しか気に留めない。
これは、とても危険な感覚(意識)だと思う。
なぜならば、本テーマの自己資本は貸借対照表に示されているからである。
銀行に頼りきった経営をしている事業者は是非とも本テーマを読んでいただきたい。
決算書の一つである貸借対照表は、左側が「資産」、右側が「負債」及び「資本」の3つの要素で構成されています。
あなたの会社の貸借対照表は、現金、売掛金、商品・・・・、買掛金、支払手形・・・・、資本金・・・・という具合にゴチャゴチャっと科目名が羅列していて、正直「よくわからん!」と感じているのではないかと思いますが、ここは、ザックリと覚えきっちゃいましょう。
たった3つでいいのです。
「資産」、「負債」、「資本」
ザックリこれだけでいいのです。
(貸借対照表を個別に具体的に読むには個別、具体的に分析するなら
科目名等の詳細は必要かもしれませんが) では、自己資本とは何か?
「自己」とありますが、3つの要素(資産、負債、資本)の
「資本」のことです。では、なぜ「自己」資本というのか?
それは「負債」を「他人資本」と言うからです。
「ん?、負債なのに資本って・・・」と
経理・簿記・会計に詳しくない人は混乱します。
少々乱暴ですが、わかりやすく言うと、「他人のお金」が
「負債」であり、「他人資本」なのです。
貸借対照表の右側は前述のように「負債」と「資本」ですが、
別の見方をすると、貸借対照表の右側は「資金をどこから調達したか」を表しています。そのような視点から見ると、「負債」及び「資本」はそれぞれ「他人資本」及び「自己資本」というのです。
では、負債である「他人資本」と資本である「自己資本」とどちらがよいの?個人レベルに落とし込むとよくわかります。
① 無職のあなたが、友人から100万を借りて事業を始めた。
② 無職のあなたが、貯金100万を取り崩して事業を始めた。
さて、どちらの事業が安定するでしょうか?
①は、事業によって収入を得ても、利息を付けて毎月返済していかなければなりません。
一方、②は事業によって収入を得ても、返済する必要がないのです。その分、貯金してもいいし、生活費に充ててもいいのです。もうお解かりかだとおもいますが、①は「借入金」。②は「資本金」なのです。
上記より、「他人資本」より「自己資本」が多い方が良いことがわかると思います。
自己資本が多いと、あなたの決算内容はたいへん良い成績表になります。税務署は誉めてはくれませんが、銀行は誉めてくれます。そのご褒美として借入条件が良くなります。
融資枠を増やしてくれたり、貸出利率を低くしてくれます。
では、「自己資本」を多くするにはどうすればいいか?
それは「増資」と「利益の蓄積」の2つです。
「増資」は財務状況を良くするには即効性がありますが、一度に多くの資金が必要です。資金が用意できなければ、「利益の蓄積」しかありません。
「利益の蓄積」とは、利益を出し、税金を支払って、その残りを会社に残す、これを毎期繰り返すことです。利益のうち税金を支払った残りは貸借対照表の「資本」(実際の貸借
対照表では「純資産の部」。「資本」と理解して良い。)に蓄積(実際の貸借対照表では「利益剰余金」の金額が増える)されます。
つまり、「300万の増資」と「利益を出し、税金を払って、残りを会社に残した合計が300
万」は、即効性は違いますが、財務的には同じ効果があると言えるのです。
そして、社会の仕組みとして、利益の蓄積の前には必ず、納税(所得税、法人税等の支払)があります。逆に言えば、適正な納税をしてはじめて、利益の蓄積ができ、結果、「自己資本」が多くなるというわけです。
自己資本というものに価値観を認識できていない人は、おそらく、「税金は安ければ安いほど良い!もしくはゼロがベスト!」と勘違いしていると思われます
では、1円でも多く払えば良いのか?というと、そうでもありません。
適正な納税をするべきということなのです。
「うちは、うまいことやってるよ!だって、毎年、税金ゼロだからネ♪ アハハ」
私たち、会計事務所から見ると、これは残念ながら、
「毎年、利益の貯蓄はできないでいるのですね・・・・ボソ」と見抜いてしまいます。
もしくは・・・「どこかで、ごまかしているな。。(脱税!?してるかも)」です。
結論づけると、元請先、商社、得意先や金融機関に対して、良い信頼作りをしたければ、決算書の中の貸借対照表の自己資本を厚くするべきである。自己資本を厚くするためには適正な納税を果たすべきである。
世の中に目を向ければ、金融機関も、上場会社も、会社に強靭な体力をつけるために、自己資本を厚くするとこに躍起になっている。そうしなければ、生きていけないのである。これは中小、小規模、零細企業も例外ではない。
というより、株式公開会社のように第3者から増資を受けることもできず、なおかつ、金融機関の融資に頼らざるおえない状況下にある個人事業を含む中小零細企業は、なおさら、適正な納税をすること、自己資本を厚くすることは必達である。
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